銀について

元素記号の Ag は、ラテン語での名称「argentum」(輝く物)に由来しています。室温における電気伝導率と熱伝導率、可視光線の反射率は、いずれも金属中で最大。光の反射率が可視領域に亘って98%程度と高い事から美しい金属光沢を有し、大和言葉では「しろがね」と呼ばれています。
延性に富み、その性質は金に次ぎ、1グラムの銀は約2800mの線に伸ばすことが可能です。

また、銀イオンはバクテリアなどに対して強い殺菌力を示すため、現在では広く抗菌剤として使用されています。例えば抗菌加工と表示されている製品の一部には銀化合物を使用した加工を施しているものが沢山あります。

貴金属の中では比較的化学変化しやすく、空気中に硫黄化合物(自動車の排ガスや、温泉地の硫化水素など)が含まれていると、表面に硫化物 Ag2S が生成し、黒ずんできます。銀が古くから支配階級や富裕階級に食器材料として用いられて来た理由の一つは、硫黄化合物や硫化ヒ素のようなヒ素化合物などの毒を混入された場合に、化学変化による変色で逸早く異変を察知できる性質からという説があります。

金とともに、中世ヨーロッパでは新大陸発見まで慢性的な品不足となり、高価な貴金属となりました。
16世紀後半から17世紀前半にかけての日本は東アジア随一の金、銀、銅の採掘地域であり、生糸などの貿易対価として中国への輸出も行っていました。これらの金属は日本の貿易品として有用だったので、銀山は鎌倉幕府以前から江戸の鎖国終了、明治に至っても国が直轄する場合が少なくありませんでした。
日本の中では石見銀山が有名ですが、資源枯渇のため、世界の銀産出地から日本の名前は消えました。

スペイン、ポルトガルにおいてはポトシ鉱山や石見銀山の銀が大量にヨーロッパに流入するまで、金と銀の価値は現在と全く逆でした。何故なら銀を鉱石から取り出すには金よりも手間が掛かるからです。
しかし新大陸発見後は、ペルーなどで大量採掘された銀が世界中に流れることになったので銀の価値が暴落しました。その結果ヨーロッパの物価は2~3倍のインフレになってしまいました。さらに近年、採掘技術の向上、および銅の電解精錬の副産物などにより金銀の生産量が増大し相対的に価格は下落しましたが、現在の経済危機においては資産としての金につられて暴騰局面になっています。銀は今も高価な金属であり、その光沢とともに、人々に愛好されています。


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